パート先のホテルにあった『開かずの間』②【実話です】

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私がパート先の『開かずの間』に入る事ができたのは、

新しくバイトに来た若いお嬢さん達のおかげです

 

夏休みになり、短期アルバイトの学生さんが3人、職場にやってきました

 

私とは担当しているフロアが違うので、話す機会はありませんでしたが

更衣室で楽しく話す様子が微笑ましく、中高年ばかりの職場が明るくなりました

 

ある時、そのお嬢さんたちはどこからか聞きつけたらしく、

例の『開かずの間』の話をしていました

 

キャッキャ笑いながら「見てみたいね」と言い合ってる様子に聞き耳を立て

 

こばゆき
こばゆき

(うんうん、わかるよ。私も中に入りたいよ)

と思ったものでした

 

それからしばらくして

普段より使われているお部屋が少なく

早めに仕事が上がれそうな日のこと

 

そのお嬢さんたちが、ホテルの従業員さんを連れて私のフロアにやって来たのです

 

従業員さんは30半ば位の男の人でした

女子大生にせがまれて『開かずの間』を見せてあげる気になったようで

 

大騒ぎしないでね

 

と、マスターキーを取り出して部屋を開けようとしていました

 

恥も外聞もありません

私もすぐに駆け寄りました!

 

こばゆき
こばゆき

すいませんが、私も見ていいですか?

いいですよ。でも大声出さないでくださいね

こばゆき
こばゆき

わかりましたっ!

 

あっさり許可され、中に入ることが出来ました

 

その部屋はカーテンが閉めきられ、中は真っ暗でした

 

まず3人の女の子たちが中に入っていきました

 

私は最後に続こうと、従業員さんが中に入るのを待ちましたが

その方は入る気がないようで

 

(どうぞ)

と、目で促されました

 

私はちょっとドキドキしながら、部屋の中に一歩入りました

 

その部屋は私が散々掃除をしてきた他の部屋とまったく同じ作りでした

 

開いた扉から外の光が入っていたので、部屋の奥にある一人がけの椅子2脚と丸テーブルがぼんやり見えました

 

他の部屋にもある、よく見慣れた応接セットです

 

でも、その丸テーブルの上に乗っているものが、何だかわかると

私はそこから動けなくなりました

 

果物やお菓子、ぬいぐるみや自動車のおもちゃが乗っていたのです

 

(子供の霊が出るんだ)

 

そう直感しました

 

ホテルの人達は、丁寧に供養していたのです

物見遊山で中に入り、申し訳ない気持ちになりました

 

私がテーブルに乗せられたお供え物にショックを受けていると、突然部屋が明るくなりました

 

先に入った女の子の一人が、カーテンを少し開けたのです

 

私が顔を上げると、その子は無表情で部屋の奥を見つめていました

 

そして小さな声で「うそ」とつぶやいたのです

 

他の部屋と作りが同じなら、その子が見ている先にはツインのベッドがあるはずです

 

私は部屋の奥に入り、ベッドのある方向を見ました

 

別の女の子が一人、ベットの脇の壁をじっと見ていました

 

もう一人の子は、ツインベッドの間にあるサイドテーブルの前に立って、壁を触っていました

 

私が壁に触れている女の子に近づくと、その子は振り返り言いました

 

「これ、光の加減と関係ないみたいです」

 

女の子が触れている壁を見て、私も呆然としてしまいました

 

その壁にはたくさんの人の影が映っていたのです

 

カーテンの近くにいる子は、カーテンを開けたり閉めたりを繰り返すので

部屋は暗くなったり、薄明るくなったりしました

 

でも部屋の明暗が変わっても、壁に映っているものに変化はありません

 

大人ぐらいの大きさの影だけでなく、子供ぐらいの小さな影もありました

手をつないでいる影もありました

 

その部屋の壁は、たくさんの人型の影で埋め尽くされていたのです

 

 

私達四人は誰からともなく、壁に向かい手を合わせると、静かにその部屋を出ました

 

 

聞くところによると、壁紙を張り替えても影が浮かんでしまうそうで

お祓いもしてもらったようですが

手厚く供養してあげるように言われたそうです

 

私に仕事を教えてくれた先輩は、部屋に入っても何も見えなかったと言っていましたが、そのことをもう一度聞いてみました

 

本当に何も見えなかったよ。他の部屋と同じ色の壁だったよ

こばゆき
こばゆき

……そうですか(なんか凄いなこの人)

『開かずの間』じゃなくって『空かずの間』ならホテルも助かっただろうね

こばゆき
こばゆき

……。

 

先輩は自分の言ったことがよほど面白かったのか、ずっと大笑いしていました

 

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